Pavel Gorbunov(パベル・ゴルブノフ)著 (英語)

The Butterflies of Russia(ロシアの蝶)

ロシアはユーラシア大陸のほとんど北半分を占め、日本との共通種の蝶が多数分布しています。例えばオオミドリシジミなどFavonius属は日本に産する全種が分布している他に、日本には分布していないF.korshunoviエンカイオオミドリシジミも分布しているし、ウスバキチョウやミヤマモンキチョウなど日本の高山蝶全種も分布し、ウスバキチョウでは、白い亜種がいたり大型の亜種がいたりで様々な地理変異があり、日本人にとっては誠に興味深い国です。最近Tuzovによって、The Butterflies of Russia and Adjacent Territoriesが出版され、美しいカラープレートでロシアの蝶が図示されています。しかし惜しいかな、記述の内容に間違いが多く、一つの種が明確な理由なく幾つかの種に分割されたりしています。例えばTuzovの図鑑では、ミヤマシジミは4つの種に分けられているのですが、何故4種に分けられるのかも、その相互の区別点も、明確に書かれていません。本書の著者Pavel Gorbunovは、現在ロシアで最も活発に活動していて、ロシアでは若いながら最も優れた蝶学者と言えるでしょう。この本では、Tuzovの図鑑その他の文献の間違いを指摘し、その理由を明確に書いています。そして近縁種の間の区別点を解かり易く明確に示し、ほとんど全ての種の交尾器の図を付し、全ての種に分布図を付し、各種の必要な情報は全て揃っています。全ての属を代表する種の生態写真約100枚も添えてあり、記述の内容は、ロシアの蝶の本では最も信頼出来る、と言うより唯一の信頼出来る本と言えるでしょう。(藤岡知夫)

The butterflies of Russia:classification,genitalia,keys for identification(Hesperioidea&Papilionoidea) Pavel Y.Gorbunov A4・320頁(交尾器41図版・115種の生態写真を13原色図版で紹介)・ハードカバー 2001 \7,000 税別 (送料450円)
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